仮想通貨の歴史は未だ浅く、2009年に運用が開始された史上初のビットコインが、その代名詞のようになっていますが、それも変わりつつあります。
あれから数多くの物語を経て、今では世界の通貨革命が起こり始めているのです。
はたして、インターネットがメディアの世界を変えてしまったのと同様のことが起こるのでしょうか?
ではビットコイン誕生から今に至るまでの軌跡をたどってみましょう。
ビットコインの誕生
2008年にナカモトサトシと名乗る人物がインターネット上にビットコインについての論文を公表。
ナカモトサトシは日本人なのか外国人なのか、あるいは本名なのか偽名なのかは分かっていません。
実際プロトタイプのプログラムを、2009年にネット上に上げたのが全ての始まりでした。
それを見た世界中のプログラマーやハッカーたちが、興味を持ち反応しました。
そして彼らのしたことは、次々にそれを書き換えいく、といったことでした。
その結果現在流通しているビットコインは、当初のプログラムから90%以上変わりました。
世界中のプログラム技術が集約された結果、現在ではほぼ別ものになっています。
その出来ばえは芸術ともいえるほどでした。
ビットコインが普及していったいきさつ
この当時はまだそれをどのように応用できるか?などということには誰も気が付いていませんでした。
しかしこれを普及させたのが、違法サイト『シルクロード』というグループです。
これは闇の犯罪組織です。
この組織が決算の手段として使用したのが、実際に使われた最初の大口取り引きです。
考えてみてください。
例えば麻薬取り引きや武器の密輸などでお金のやり取りをする場合など、現金を持ち歩くわけではないので踏み込まれる心配がありません。
しかもいつでもどこでも誰でも、ほぼゼロに等しい手数料で瞬時に送金ができるのですから。
それに政府も銀行も全く関与しないエリアで行われるのです。
しかしこれが、結果的に摘発されることになり、アメリカの3大ネットワークにニュースとして報道されました。
そこでアメリカの多くの人々が、瞬時に送金ができて手数料がほぼゼロという、その便利さに気付いてしまいます。
背景にはアメリカ国内の不便な送金事情がありました。
国内の送金でさえ何日もかかる上に、手数料だって日本とは比較できないほど高いのですから。
一気に上昇するビットコインの価値
その結果、多くの人々がビットコインを欲しがります。
そうすると価値も一気に上昇するわけです。
2010年6月の時点で8セントだった1ビットコインが、「シルクロード摘発」のニュースが流れると2011年8月には1ビットコインが31ドルにまで上昇します。
そして世界中でビットコインの認知度が高まり、ビットコイン関連の様々なビジネスが登場します。
2013年3月にはキプロスショックが起こります。
ユーロ圏のキプロス共和国が財政破綻してしまうわけです。
当然のこと、政府が発行している通貨は紙切れとなってしまうわけですから、このニュースを聞いた国民は政府が介在しないビットコインを買い求めます。
そこでまた価値が上がり、1ビットコインが200ドルになります。
さらにその8ヶ月後一気に上昇し、1ビットコインあたり1,200ドルまでいきます。
何でこのようなことが起こったか?
中国の富裕層がビットコインの存在を知ったのがその理由です。
そして爆買いをしたのです。
そもそも何かと規制が厳しい中国では、元を米ドルやユーロに換えることが難しいという事情があります。
つまり一度ビットコインを介在させて、それから米ドルやユーロに換えるということに気が付いたのですね。
続いて一気に下がり始めました。
これは中国政府が金融機関の事業としてビットコインを扱うことを禁止したためです。
下落したといえども元の状態まではいかず、ある程度のレベルで留まりました。
さらに2014年2月には世界最大の取引所であるMt.Goxが破綻したことで、価値が一時的に暴落しました。
日本ではメディアに取り上げられ、誰の口からも「ビットコインは終わった」とささやかれるようになります。
しかしこれが仮想通貨時代の幕開けだったのです。
定着するビットコインの価値
その後はどんどん定着することになり、ビットコインの知名度も高まっていくことになります。
日本では2014年6月には国内初のビットコインATMが登場します。
2014年、パソコンの大手Dellがアメリカ国内でのビットコイン支払いを開始。
つづいてPaypalがビットコイン決済への対応開始を発表しました。
2015年にはEUの最高裁判所がビットコインを通貨として認めます。
2016年夏には1ビットコインが約60,000円で取り引きが行われるようになりました。
そして今なお、ビットコインの価値は徐々に上昇を続けているのです。
日本でもビットコインが通貨に…
日本でもビットコインによる公共料金の支払いも導入され、大手3大銀行もついにFinTechに着手し、政府もビットコインを貨幣に認定する法規制案を閣議決定しました。
ついに2016年10月、これまで消費税がかかっていたビットコイン獲得に、2017年より無税になることを日銀が発表しました。
つまりこれは商品から通貨と認められたことを意味します。
この事態を見過ごせない日本の銀行も、それぞれに独自の仮想通貨の発行に踏み切っています。
銀行や政府を介在しないお金ができるということは、銀行そのものの存在が危ぶまれるからです。
ビットコインの欠点を補った新しい仮想通貨も次々に登場しはじめ、2017年は仮想通貨元年とまでいわれるようになったのです。